Project story 02 溶接という
新しい付加価値を確立し
ニッコーのさらなる可能性を開拓
アンボンドブレース®

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ニッコーではお客様のニーズに合わせて、鋼管に様々な加工を施したうえで納品する付加価販売を得意としている。その中にあって社内で“溶接”を施していくという新しい方向性を打ち出したのが、制振ダンパー・耐震部材「アンボンドブレース」の吊りピース溶接に関する取り組みである。加工の最前線に立つ畑原、そして若手営業として挑戦し続ける岩波に、このプロジェクトの概要を聞いてみた。

プロジェクトメンバー
Member

岩波 史也
西部営業本部 
大阪鋼管第一部 営業課
2015年入社
畑原 博文
大阪物流部 鋼管1Gr
1996年入社

長年にわたって信頼を
積み重ねてきた取引でもある

 地震大国たる日本では、世界的にも高いレベルの制震・耐震技術が確立されているが、中でもメジャーな術の一つに「ブレース材」が挙げられる。簡単に言えば、建物の柱と柱の間に“筋交い型”に入っている鉄骨であり、建物にかかる揺れを効果的に抑制するのに欠かせない存在となっている。
 ニッコーでは日鉄エンジニアリング株式会社が開発した「アンボンドブレース」と呼ばれるブレース材向けの鋼管を長年にわたって供給してきた。特殊な緩衝材であるアンボンド材を用いることで、高い制振性・耐震性を実現した製品であり、特に大規模倉庫などの大型案件で用いられることが多いという。
「アンボンドブレース用の鋼管に関しては、それこそ何十年も前から取引がなされていました。近年はさらにニーズが高まっている分野であり、安定してご注文いただいていますから、過去の信頼をしっかり引き継ぎながら、お客さまにさらなる価値を提供しなくてはならないと気を引き締めながら仕事に向き合っています」
 と語るのは、2017年に担当営業となった岩波だ。
 実はアンボンドブレース向けの取引は、岩波が入社する以前、2014年に大きな転機を迎えた。それまでニッコーとしてほとんど実績がなかった加工を請け負うことになったのだ。

溶接のノウハウがない中
一つひとつ積み上げていく

 その加工というのが、鋼管に「吊りピース」というパーツを溶接するというものだった。
「吊りピースとは工場や建設現場で鋼管を移動させるとき、クレーンなどをかけるための穴のこと。以前はお客さま側で溶接していたのですが、手間を軽減したいからと当社に依頼が舞い込んできました。20年近く前に別件で溶接にかかわったことがある私に相談が来たものの、そもそも免許さえを持っていない状態でしたので、何をすべきか戸惑ってしまいました」
 溶接担当として現場を仕切る畑原は当時をそう振り返る。
 畑原は免許を取りに行くところから始め、お客さまと密にコミュニケーションしながら溶接のノウハウを学んでいった。だが、最初に試しに作ってみた吊りピースは、お客さまからは「使い物にならない」と跳ね返されてしまう。文字通り、手探りで一つひとつの課題を乗り越えていくところから、畑原たちのチャレンジ始まった。

地道な努力の積み重ねが
成功につながる

 一口に鋼管といっても、形状や材質などは型番によって微妙に異なっている。アンボンドブレースにも複数の鋼管が用いられており、鋼管ごとに溶接のやり方も異なる面があった。
「例えば、ニス付きの鋼管で溶接加工を行うと、必ずピンホール(空洞)ができてしまう問題が発生します。最初は原因がわからず苦慮しましたが、対応するためのノウハウは経験しながら徐々に蓄積していくしかありませんでしたね」(畑原)
 吊りピースの溶接は炭酸ガスを使っての作業となる。溶接中は室内が熱気で覆われるものの、だからといって扇風機等で風を当てると炭酸ガスが飛び散り、溶接の品質が下がってしまうというのも苦しいところだった。
 それでも畑原たちの真摯な姿勢が、溶接の品質を徐々に高めていった。2014年11月に依頼を受け、2015年は試行錯誤の時間が続いたが、2016年には年間2491本もの溶接を担当。魔法のような技術を使ったわけではない。顧客とのコミュニケーションを絶やさず、課題を丁寧に乗り越えながら、地道に技術を高め、信頼を培ってきた賜物である。

新人営業ながら
歴史ある取引の担当に

 2017年は2440本、2018年は3029本、2019年は3438本と順調に数字を上げていったが、岩波はちょうど3000本の大台を超える頃に営業の担当となった。
「大型物流倉庫の案件を数多く請け負った時期に前任から引き継いだのですが、最初の頃は一日でできる加工本数もわからず、工程の調整などに苦労させられました。畑原さんに質問をしながら知識を深めていきました」(岩波)
 一つの物流倉庫で1000本単位の納品が必要な大型案件を受注したときは、社内調整に奔走しっぱなしだったそうだ。幸いにもニッコーの場合、営業と現場の距離が非常に近く、日常的に対話が交わされている。若い岩波に対して、畑原たちは厳しくも温かな言葉を投げかけながら成長を促していった。

生活の身近な場面で
自分の仕事が見つかる

 畑原は吊りピースの溶接をしていても、それが社会に役立つ実感が得られなかった時期が長く続いたと振り返る。しかし、先日、手掛けた大型物流倉庫の案件がたまたま大阪近郊にあり、工事中の様子を見ることができた。自分が溶接したであろう吊りピースにクレーンが取り付けられ、現場で空高く持ち上げられた後、然るべき場所に取り付けられる――その姿を見て、畑原は改めてこの仕事に大きなやりがいを感じたという。
 岩波も身近な場面で自分の仕事の痕跡があることがモチベーションとなっていると話す。
「大阪都心部の百貨店の改装工事で、当社が溶接したパイプが用いられています。毎日、通勤で通る場所なので、非常に感慨深い思いに包まれています。振り返れば、昔はパイプを売るだけだった当社も、社内外と連携しながら加工にも着手することで、“ニッコークラスター”として広い範囲の価値を提供できるようになりました。今後ももっと多くの場面で活用されるように、お客さまや関係者との対話を通して、新しい可能性を探りたいです」(岩波)
 今、アンボンドブレース以外の溶接案件も徐々に増え始めている。畑原の下には現在は大阪では協力会社を入れて3人の若手がいるが、案件が増加傾向の中で若手の育成は急務だからと指導にも熱が入る。今では東京の事業所でも溶接作業ができるようになっており、ニッコーの溶接技術の先駆者たる畑原もその立ち上げなどにもかかわった。アンボンドブレースをきっかけに、溶接の成功ノウハウは全社にわたって広がりつつある。

注:アンボンドブレースは日鉄エンジアリング株式会社の登録商標です。
  登録番号第5576002号