Project story 01 チームワークで多様な
課題を乗り切り
大規模な商流を作り上げる
新機種マスト材

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物流業界の盛り上がりを受け、近年、フォークリフトの重要が高まり続けている。産業機械メーカーと取引のあるニッコーも、フォークリフト部品向けに豊富な納入実績を有しているが、2019年冬、某メーカーの新機種向けマスト材の受注に成功する。月間出荷量は100トン以上。今までにない新しい商流を安定軌道に乗せるべく、営業と倉庫が一体となってプロジェクトの成功に向けて奔走していった。

プロジェクトメンバー
Member

勝山 敬一
西部営業本部 
大阪鋼管第二部 
営業第二課長
1995年入社
上田 善文
大阪物流部 
鋼管2Gr リーダー
1998年入社
坂本 美咲
西部営業本部 
大阪鋼管第二部 
営業第二課
2018年入社
菊地 和夫
大阪物流部 
部長代行
1992年入社
藤原 勝
大阪物流部 
鋼管2Gr サブリーダー
2008年入社

月間100トンの鋼管を出荷するべく
関係者全員がスクラムを組む

 フォークリフトは工場や倉庫内で荷物を移動させるのに欠かせない物流機器である。前面に付いているフォークと呼ばれる爪を、パレット(木枠)などの下部に差し込んだ上で、モノを上下させながら移動させていく。それがフォークリフトの基本的な原理だが、そのフォーク(爪)を支える支柱は「マスト」と呼ばれる。重量物を支える根幹を担うだけに高い品質や強度が求められるが、ニッコーでは長年にわたり大手メーカーA社にマスト用型鋼を納入して信頼を集めてきた。
 A社の営業を担当する勝山によれば、従来は約12mの型鋼をそのまま納入してきたという。しかし、A社が同業と合併することになり、状況が一変した。
「フォークリフトの新機種に向けたマスト材を任せていただくことになったのですが、合併した企業では加工しやすいように切断された状態で納入されていました。当社もそのスペックに合わせることになり、切断をするという工程を担うことになったのです」と勝山は振り返る。
 ニッコークラスター(加工を主体としたワンストップサービス)を標榜するだけに、切断等の加工を行うこと自体は難しいことではない。しかしながら、課題となったのはその量だ。月間100トン以上を出荷する予定だったため、どうやって加工し、どのように倉庫に保管し、いかなる手段で出荷するのか――圧倒的物量を処理するべく、文字通り全員が一丸となってのチャレンジが始まった。

既存の荷物を大胆に移転し
新機種マスト材向けに
スペースを作る

 話があったのは2019年の春のこと。実際の運用開始となる同年冬に向け、社内で何度も協議が行われた。この「新機種マスト材」を預かることになったのは、大阪の柴谷物流センターである。カーボンとステンレス両方の鋼管を扱っている物流センターであり、切断加工などにも対応できる機能を有している。だが、12mもの長い型鋼を切るラインがなかったのが最初のハードルとなった。
 最終的には仕入先メーカーに切断加工を依頼することにしたが、今度は切った型鋼をどこに置くのかという頭の痛い問題が残された。100トン以上が動くのであれば、少なくとも常時100トン以上の在庫を抱えることになる。倉庫のマネジメントを担当する上田は当時を振り返る。
「おかげさまで各方面のお客さまからニッコーはご支持いただいており、当時も今も倉庫内の在庫はほぼ満杯です。柴谷に新しい商品を置きたいという話は聞いたものの、どこにも置く場所がないので『空けてくれたらやりますよ』と回答するしかなかったですね」(上田)
 勝山をはじめ関係者は熟慮に熟慮を重ねる。物流の都合で柴谷物流センターに置くというのは外せない。となると、そこに荷物を置けるようにするしかなく、結果としては、より規模の大きな堺物流センターに在庫の一部を移管することで、空いたスペースに新機種マスト材を置くことにした。

専用ラックでの管理を選択
細かく運用ルールも策定

 これで万事うまくいくのかと思いきや、まだまだ問題は解決しなかった。増加する入出荷量に対応すべく、効率的な在庫管理体制を構築する必要があったのだ。
「マスト材はフォークリフトの目立つ場所に用いられます。少しの傷が入っていても使い物にはなりませんから、保管にも細心の注意が求められました。作業効率や置き場のスペースなども考え、最終的には専用のラック(入れ物)で管理することにしました」(上田)
一つのラックに収まる分量はおよそ約3トンにも達する。その管理や移動には特別なスキルが求められるのだが、ラック管理の経験があったのが現場では上田のみ。クレーンで持ち上げるにしても通常とは異なる運用方法が求められるだけに、上田は部下の藤原たちに1から指導しながら新運用方法を模索していった。
 倉庫内のルール作りも行っていく。毎日出荷があるだけに1日のうち朝方の1時間は、必ず全員で新機種マスト材を扱うことになった。定期便を運航する物流会社の選定なども行い、運用のその日までに現場は確かな体制を構築した。
 大阪物流部の部長代行で、倉庫の責任者でもある菊地は語る。
「限られた時間で準備するのは苦労しましたが、メンバーが密に連携して現状のベストとなる方法を選択したことで、製品特性に応じた在庫管理が実践できるようになりました。営業との連携もうまく行っており、今現在、大きなトラブルもなく順調に運用されています」
と菊地は大きな手ごたえを得ている。

新しいプロジェクトを通して
社内連携がいっそう活性化する

 営業との連携という意味では、営業事務を担った坂本の役割が大きい。顧客からの発注管理、伝票の入力といった実務面を担ったのだが、毎日入出荷がある以上、坂本の作業量も膨大なものとなった。
「継続して大量の注文がある案件ですから、担当となったときは正直、緊張しっぱなしでした。その中でも心がけたのはトリプルチェックの徹底。伝票を打つ前、打ち込んだ後、印刷後に必ず数字を確認して、間違ったオーダーがないように気を配りました」(坂本)
 普段はオフィスで作業をする坂本だが、今回の案件は手探りで物事を進めなくてはならない以上、現場と直接、話す機会に何度も恵まれた。おかげで今まで以上に気軽に相談できる関係となり、他の仕事でもプラス効果が見られているそうだ。
 上田も営業側との距離がぐっと縮まったと感じている。
「今までそんなに会話をしなかったメンバーとも、ストレートに意見を交換するシーンが増えました。プロジェクトも問題なく進みましたし、今まさに毎日順調にモノが動いている様子を見るのは嬉しいですね」

大型案件の成功が
ニッコー社員の自信となる

 顧客や社内の調整のハブとして活躍した勝山も、今回の案件が無事に形になってホッと胸をなでおろしている。準備中はこまごまとした課題が無数に発生したものの、丹念に1つずつ潰しながら、全体が進む道筋がブレないように気を配ってきた。
「みなさんの協力のおかげで、売り上げとしても非常に大きな案件を無事に形にすることができました。入社して20年以上の月日が経ちましたが、この規模で新しいビジネスを作ったのは初めての経験。これからにつながる大きな自信を得ました」(勝山)
 一方、上田は今回の案件で倉庫機能のさらなる進化が必要だと感じるようになり、安全かつ効率的に作業ができるように、天井クレーンから、手元で操作できるホイストクレーンへの切り替えなどを提案している。
「業務改善や設備投資などには前向きな会社ですし、チャレンジしての失敗であれば許容してくれる懐の深さもあります。今回の案件のように、これからも新しいことにどんどん挑みたいですね」(上田)
 新機種マスト材をきっかけに自信を深めた社員たちが、ニッコーの新たな可能性を切り拓いていく。